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昨夜のこと。
4日目の暗い夜を数えながら 今夜も電気はこないのだろうかとあきらめていた頃 突然 部屋がぱっと明るくなり テレビから楽しそうな音声が飛び込んできて そのうれしかったことといったら。 まず お礼を申し上げたい気持ち。 度重なる台風に 夜を徹しての復旧に当たられる関係者の方々のご苦労に 感謝の気持ちでいっぱい。 家屋や農作物等 様々な災害に合われた方々にも 一日も早く普段の日常が戻って来られることを ただ願っております。 台風一過の翌日は うそみたいに晴れ上がった空があって それと対照的に ダメージを受けて傷んだ樹木や田畑 倒木や折れた枝で狭くなった道幅が 荒れ狂った自然の猛威を見せつけておりました。 台風がやってくる度におきまりになった停電にもすっかり慣れていて ガラス戸の向こうの月明かりは ぼんやりと部屋を照らしていました。 十五夜の月が これ程嬉しかったのは初めてだと思うのです。 庭に出て その有難い月を夫とどれくらい眺めていたでしょうか。 こんな日でも ガスが使えるって本当にうれしい。 お豆腐と上新粉 白玉粉を適当にこねて作ったお団子でお月見も出来ました。 ススキやハギ おみなえしなんて どこを探しても見当たらないけれど そこら辺のカヤを刈り取って小さく生けて 精一杯のお飾りです。 冷凍庫の豚ひき肉で作った肉団子に 千切りしたキャベツの衣を着せて いが栗に見えないかなぁ。 台風の気苦労で疲れた心を お団子が癒してくれました。 焼き団子?磯辺団子?というのでしょうか 夫のリクエストは 醤油を塗って焼くシンプルな『しんこ団子』 故郷の懐かしい味がします。 それからの3日間 長引く停電を覚悟して台所への引きこもりが始まりました。 冷凍室の白身魚は たたいてすりつぶして ごぼうや人参が入ったさつま揚げに。 冷蔵室の生豆腐は よく水気を切って揚げ豆腐に。 実家から送られてきた玉子はお菓子作りに役立てたかったけど ゆで卵になって『おでん』になりました。 でも 大根の入っていない『おでん』は 『おでん』の味になりきれていませんでしたけど。 鍋で炊いたご飯に新落花生を足したきんぴらごぼうを添えてみたり。 温めなおしには 蒸し器がとても役に立ってくれて コンロにかけたついでに 私はいろいろなものを蒸していました。 蒸しパンに バニラ紅茶の葉を入れて 甘い香り漂うおやつに。 小さなプリンカップに 小さく蒸して。 イーストとベーキングパウダーで発酵させた生地には 豚肉とエビ 干しシイタケ 生姜 長ネギ等で作ったあんを詰めて。 炊き込みご飯にするつもりだった栗は 小豆と一緒に蒸して栗おこわに。 両親共働き家庭の台所を大正生まれの祖母が守る姿に教えられ 18歳になるまで過ごした質素な田舎暮らしは 私の財産かもしれません。 不便だった数日間 ずっと気力も想像力も感性も冴えて 随分楽しめたような気がするのです。 だからといって 不便な暮らしの方が良いというわけではないのです。 便利さに甘えつつ合理的で機能的な暮らしから生み出される時を もっと大事に扱うことを覚えなければと思うわけです。 深まっていく秋を思い浮かべながら なんでもない手仕事を楽しんでみたい。
by petitmugi
| 2012-10-03 14:32
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